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キハダ*の木で作られた「守り狐」を高級感あふれる摺り漆(すりうるし)で仕上げる講座
北塩原村在住の漆芸家としてご活躍されている角田純一さん、弥生さんご夫妻による、漆の歴史と文化について学ぶ座学と摺り漆仕上げ体験を通して、長い歴史と文化を持つ漆工芸の魅力に触れる講座です。NPO法人裏磐梯エコツーリズム協会の主催で開催されました。
まずは会津漆器の歴史から。
会津漆器は、16世紀末に会津藩の礎を築いたといわれる蒲生氏郷氏が近江から木地師と塗り職人を連れてきたのが始まりで、江戸時代には、産業として発展しました。そして、昭和25年頃、プラスチック製の漆器が登場し更に栄え、50年に、「会津塗」が伝統的工芸品に選ばれ、10名の伝統工芸士が誕生しました。しかしながら、現在は、この伝統的工芸品も生産額の減少と技術後継者不足が深刻な問題になっていて、多方面で復活に向けた取り組みが行われているそうです。
摺り漆とは、樹の資質を活かす創意で、木目を生かしながら漆を刷り込んでいく技法です。
摺り漆体験では、まず木地調整から、キハダ*の守り狐をペーパーやすりでつるつるに研いでいきます。この作業を丁寧にやらないと、うまく漆が摺り込めないそうです。傷がなくなり木肌が滑らかになったら、丁寧にふき取り、溶剤を刷毛や綿で摺り込み、すぐにティッシュペーパー等で拭き上げます。そして、気温20℃、湿度80%の場所(湿気を与えた漆風呂にいれ養生)で乾かします。
完全に乾いたら、この工程を繰り返し行い、生漆の割合を徐々に増やしながら溶剤を重ねていき、7~8回程繰り返し艶がでれば完成です。今回の体験では、乾かす時間が取れないので2~3回塗る体験をして、先生に預けて完成させていただきました。
守り狐とは
裏磐梯には古くから伝わる森の守り神。昔々、裏磐梯で木地型取りを生業としていた木地師とよばれる人々が、森の守り神として祀っていたのが守り狐です。
漆芸家 角田純一さん、弥生さんご夫妻
角田純一さんは、会津若松市の伝統産業である「会津塗」を家業とする3代目。伝統的な会津塗の良さを活かしつつ、常に新しさを追求しながら作品を作り続けています。
2007年に、裏磐梯に漆芸工房を開設され、ご夫婦で漆芸家として活動中です。
工房では、日展や日本現代工芸美術展などの全国展出品作から普段使いの漆器まで多数展示・販売されています。
また、漆を身近に感じていただくために、様々な絵付け体験等も開催中です。裏磐梯を訪れた際には、是非ともお立ち寄りください。
https://www.tsunoda-shitsugei.com/
NPO法人裏磐梯エコツーリズム協会
「人と自然」「人と人」とのつながりを取り戻し、磐梯山や北塩原村の自然や文化を守りながら伝え、北塩原村および周辺全体が元気になるような活動を行なっています。
〈活動例〉
■裏磐梯を知ろう
「学ぼう・伝えよう・守ろう・裏磐梯」を合言葉にばんだいの宝発見講座(エコツーリズムカレッジ)活動
■裏磐梯の資源を守ろう
湖沼群、水質、外来動植物などのモニタリングの実施や外来動植物駆除活動
■裏磐梯を伝えよう
情報発信活動 (エコツー通信、ホームページ、村イベントの出店など)
昔から守り神、子供玩具として地元で親しまれた「守り狐」の伝承活動
*キハダとは、樹皮の表皮と内部の木質部との間にある内皮が、鮮やかな黄色であることから、「黄色い肌」の意に由来するミカン科キハダ属の落葉高木。